内臓脂肪が多くなると健康物質アディポネクチンの分泌が減ってしまう

内臓脂肪が多くなると健康物質アディポネクチンの分泌が減ってしまう

脂肪細胞から出ている健康物質のアディポネクチン。健康ホルモンとか、長寿ホルモン、やせホルモンなどとよばれ、今大変注目されています。脂肪細胞からそのような善玉ホルモンが出ているなんて!じゃあ太っても大丈夫ってこと?

 

いえいえ、それは大誤解なのです。アディポネクチンは血中濃度が高いほど健康に良く、逆に低いと健康に危険信号が点滅します。そして脂肪細胞から分泌されているのに、内臓脂肪が高いと血中濃度は低くなってしまうのです。
これからアディポネクチンの働きと、そして内臓脂肪との関係を見ていきましょう。

 

アディポネクチンは体内の正義の味方!その働きには感謝せずにはいられない

 

まずアディポネクチンが体内でどのような働きをしているのか見ていきましょう。

 

  • インスリン受容体の感受性を上げて血糖値を改善する
  • 骨格筋でAMPキナーゼという酵素を活性化し、運動を行った時と同様の効果をもつ
  • 脂肪を燃焼し中性脂肪を減らす
  • 活性酸素などで傷ついた血管を修復、コレステロールなどのドロドロ物質がたまるのを防ぐ
  • 血管を拡張して動脈硬化を防ぐ
  • 抗炎症作用があり、炎症がもたらすがん、糖尿病、動脈硬化などを防ぐ

 

などの作用が判明しています。これは絶対に量を増やしたいですよね。

 

邪魔者!内臓脂肪がたまってアディポネクチンの分泌を邪魔するしくみ

 

内臓脂肪がたまったお腹は西洋梨型肥満とも呼ばれ見た目も良くないものですね。この状態は近年メタボリックシンドロームと名付けられ、高血糖・高血圧・高脂血症になりやすく、様々な病気を引き起こすとして健康診断などで見つかると改善するよう指導されます。この病気をもたらす機序にアディポネクチンが大きく関わっています。

 

まずはメタボリックシンドロームの診断基準(肥満学会によるもの:2005年)を挙げます。

 

  • 腹囲 男性85p・女性90p以上
  • 中性脂肪150r/dL
  • HDL40mg/dL(英語版)
  • 血圧 収縮期130oHg以上または拡張期85oHg以上
  • 空腹時血糖110r/dL以上

 

どうやら内臓脂肪と血糖値、動脈硬化はかなりの相関関係があり、それは前の項で見たような働きをしてくれるアディポネクチンが減るためと考えられます。血中アディポネクチン濃度は内臓脂肪量と逆の相関関係があり、その機序は以下のように考えられています。

 

肥満は脂肪細胞の肥大をもたらします。その結果、膨れ上がった脂肪細胞によって周りの血管が圧迫されて血流障害による酸素不足状態となり、アディポネクチンの分泌が抑制されてしまいます。そして肥大化した脂肪細胞は、TNFαやインターロイキン6などのサイトカインの産生を亢進します。それらの体への悪影響も示しておきましょう。

 

IL-6
脂肪細胞から分泌され、炎症や免疫疾患の発症に関わります。

 

TNFα
脂肪細胞の周囲に引き寄せられたマクロファージがTNFαを分泌します。これは強力なインスリン抵抗性を持ち、糖尿病や動脈硬化のリスクを高めます。

 

つまり内臓脂肪が増えると、病気から守ってくれるアディポネクチンの分泌量が減り、逆に病気をもたらすIL-6やTNFαの産生量が増えるというダブルパンチを受けてしまうのです。

 

アディポネクチンの血中濃度は平均男性8.3μg/mL、女性12.5μg/mLで、4.0μg/mL以下だと糖尿病や血管系疾患などのリスクが上がると言われます。気になる方は医療機関で採血して検査してもらうことは出来ますが、全額自己負担となります。

 

アディポネクチンを増やしたい!どうすりゃいいの!?

 

知れば知るほど増やしたくなる善玉物質アディポネクチンですが、ではどうしたら体内のアディポネクチンは増えるのでしょう。アディポネクチンを増やすためには定期的に運動をして、体重および腹囲のサイズを減らすことです。特に30分以上の早歩きウォーキングなどは体内の一酸化窒素を増やして血管を拡張する効果があるので一石二鳥です。

 

そしてアディポネクチンを増やす食べ物を摂りましょう。大豆はβコングリシニンという内臓脂肪を減らし中性脂肪を抑える効果のある成分が含まれています。

 

他に海藻やオクラ、トマトなどがアディポネクチンをふやす効果があります。繊維質を摂ると腸での脂肪酸の取り込みを抑えてくれる働きもありますので、野菜や海藻は積極的に食べましょう。

 

内臓脂肪が健康にもたらす悪影響が生理科学的によく理解できたのではないでしょうか。できるだけ内臓脂肪をため込まない生活を心がけて健康を維持したいものですね。

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